4本目 「ファーゴ」 ☆☆☆☆ 嘘つきと正直者
映画も観てます。今回はコーエン兄弟制作の「ファーゴ」
先日テレビドラマにもなったと話題になっていました。
今回のテーマは
①嘘と本当 ②淡々と進む、待ってくれない ③どこかで見た事ある男
キャストなどは以下
以下、ネタばれを含む感想です。
①嘘と本当
ノーカントリーが「完全なる悪」、レディ・キラーズが「諧謔」ならこのファーゴは「滑稽」と位置付ける。それだけ、バカバカしい人がこの映画に出過ぎているからだ。
この映画で重要なのは「嘘をつく人と正直な人」との対比であると感じた。
誘拐で脅して金を取ろうとするジェリー(ウィリアム・H・メイシー)は最初から最後まで嘘の塊であり、私達視聴者に不快な気持にさせ続ける。言い訳をよくもまあこれだけ並ぶものだと思うくらい嘘を並びたてる。それがやはり不快に感じる。
対してチンピラ役のカール(スティーブ・ブシェミ)ゲア(ピーター・ストーメア)は悪人でかつ殺人も行うくせになぜか不快とは思わない。なぜか…私が思うに2人が人生に正直であり、妙な人間らしさが出ていたからだと思う。ただし、この2人は自分には正直でも私達にとっては悪人である。
そこで主人公のマージ(フランシス・マクドーマンド)の登場だ。
彼女は「正直者」である。警察官としての正義感・勇気もあり、過去の友人と会うなどの「義理人情」も兼ね備えている。そして、「妊婦」である。
前述の3人が「滑稽」な人物であるが故、マージの正直さが映えるのである。
「私達が求めていたのはこの人だ!」
と思わなければならないくらい、この映画には正直者が少なすぎる(監督を含めて)
…がそれがいい。
②淡々と進む、待ってくれない
この映画はほとんど時系列が一直線である。回想シーンもないし、時間が交錯(本当はしているのかもしれない)することもない。
私達が少しでも考えてしまうとすぐに置いていかれてしまう。その代わり最初から答えは出してくれている。結末だけを私達は考えればよいのだ。それが良い方向でも悪い方向でも。
きっとそれを楽しむ映画なのだと思う。結末をどう自分で想像するのか。どの結末が自分には良いのか。
これがズれると、人によっては「面白くなかった」と感じる人もいると思うが、私は外れたが逆に「良かった」と感じた。
結末がGOODで考える人、BADで考える人これで人間性が分かりそうなもんだ。
③どこかで見た事ある男
今回出てきたカールは「誰かに似てる…」と感じたのだが、分からず仕舞であった。
このブログを書いているときに思い出した。
右がカール 下が手塚治虫に出てくる ハム・エッグ
こう見ると…似てないか。劇中だと小悪党なところや短気、にやける表情、変な顔はよく似ていたと思うが…。
題名が「ファーゴ」なのにほとんどは「メトロポリタン」で起こっているという事実に気付かない方がよかった映画。